ドイツ・オーストリア(11)


今回は、ドイツの世界遺産 『ヴィース教会』 をご紹介します。

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2010年11月18日(木)



▲『ヴィース教会』


ミュンヘンからロマンチック街道を南下し約100km、
フュッセンのシュタインガーデンに 『ヴィース教会』 はあります。
ミュンヘンからバスで約1時間45分ほど。


「ヴィース」はドイツ語で「牧草地」という意味です。
とても小さな教会なのですが、大変多くの人が訪れる巡礼教会です。
その成り立ちを「教会参観案内」より少し抜粋してご紹介したいと思います。


1730年、マグヌス・シュトラウプ神父とルカス・シュバイガー修道士が、
シュタインガーデンのプレモントレ修道院にて、
当時、慣例となっていた聖金曜日の聖体行列のために、
鞭打たれる救い主(キリスト)の寄せ木づくりの木像を作成しました。
関節部は亜麻布で覆い、赤い彩色をしたのですが…


この血と傷を持つ救い主(キリスト)の像は、
そのあまりに悲惨な姿のために、信者たちの同情を呼び、
まもなく用いられなくなってしまいました。
1734年以来、シュタインガーデン修道院付属の、
食堂の主人の屋根裏に置かれ忘れ去られてしまったのです。


1738年3月4日、農婦マリヤ・ロリーが
「鞭打たれる救い主(キリスト)」を自らの農場に譲り受け
熱心に祈りを捧げたところ、1738年6月14日の夕拝中に
奇跡が起こりました。
その夕方と翌朝、救い主(キリスト)像の顔面に
涙のように思われたいくつかのしずくがあったのです。


この「涙の奇跡」の話は瞬く間に広まり、多くの巡礼者が訪れるようになりました。
押し寄せる巡礼者を受け入れるには、はるかに及ばなくなり
『ヴィース教会』が建設されることとなったのでした。


設計は、教会建築で有名なツィンマーマン兄弟、
ドミニクスとヨハン・バプティストによって行なわれ
1745年〜1754年にかけて建設されました。
ロココ様式の教会です。
バロック様式、ドイツロココ様式という人もいます。)


簡素な外観とは対象的に、内部はとても装飾的で
「無限の境地に誘い込まれそうな可憐さ」といわれ
ロココ様式の最高傑作といわれています。


ユネスコより1983年、世界文化遺産に指定されました。


世界遺産の基準は大変厳しく、ドイツで一番人気といっても過言ではない
ノイシュバンシュタイン城」も、実は世界遺産には登録されておりません。
(こちらのお城は後でご紹介したいと思います。)



▼内部 前陣


▼内部 後陣



▼大天井画(フレスコ画) 兄ヨハン・バプティスト
キリストの復活、最後の審判などが描かれる



▲中央部分 内陣聖歌隊
最も聖なる聖域として他の空間から仕切られ、
一般の人は入ることができません。


▼説教壇


▼内陣聖歌隊席にある主祭壇 弟ドミニクス
主祭壇に納められているのが
「鞭打たれる救い主(キリスト)」の像になります。

ドイツのツアーの方たちが聖歌隊席に入って説明を受けていましたが
一般の私たちは入ることができない領域です。



▲「プッキー」といわれる天使や子供たちが金色のツタに絡まった
スタッコ装飾が所々になされているのが特徴です。


ホワイトとゴールドを貴重とし、はっとするほど美しい内観でした。


弟のドミニクスは、この教会に大変な情熱を傾け
完成後も生涯この近くで暮らしたそうです。



▼外観



もし『ヴィース教会』へ行く予定の方がいましたら写真撮影だけはご注意ください!
神父さんが大変厳しい方で、一度でもフラッシュを使おうものなら
即カメラを取り上げ、その場でフィルム、デジカメならメモリーカードを抜いて
絶対に返してくれないそうです。
どのデジカメにも精通していて迷うことなくすぐ抜いてしまうということですので
旅の思い出がなくなりませんよう気をつけていただけたらと思います。
私語も厳禁のため見学にはとても気を遣いますf^^;