『薩摩切子』展

サントリー美術館で開催中の『薩摩切子』展へ行ってきました。



薩摩切子は、弘化3年(1846) 薩摩藩主・27代 島津斉興
製薬のためにガラス器、ガラス瓶などの製造を必要とし、
江戸からガラス職人を招いて工場を開いたのに始まりました。


息子の斉彬の代になって藩の生産振興のために
工場群から成る大工業地帯「集成館」が建てられ、
ヨーロッパのガラス製法が導入されるなど飛躍的な成長を遂げます。


しかしながら斉彬は藩主になって僅か7年半で他界。
斉彬の死後、事業は縮小され、文久3年(1863) 薩英戦争でガラス工場が破壊されると
その製造は衰退の一途をたどりました。そして
ついに明治初期にはその技術が途絶えてしまったのです。


幕末のわずか十数年の間に制作された薩摩切子は大変少なく貴重で、
骨董として高値で取引されているそうです。


今回の展覧会では、その成り立ちから終焉までを約160展の作品にて
紹介する切子づくしの展示となっております。


作品ごとに異なる細やかな細工が施されている上
茶器、瓶、筆鉢…など多種多様なものが作られていたことには驚きました。


色彩、デザインとも本当に美しいものばかりです。


中でも一際、目を引いたのは斉彬が天璋院 篤姫に、
徳川第13代将軍・家定に嫁ぐ際、嫁入り道具として
持たせたといわれている「雛道具」です。


お雛様用にとても小さな可愛らしいサイズで作られており
グラス、お皿、重箱に至るまで、すべて一式
切子でできているのにはとても感動しました。


小さなグラスを作るだけでも大変なことと思いますが
全てに細やかな細工がなされていて、その繊細さといったら
当時の職人さんの技術の高さには驚くばかりです。


http://www.suntory.co.jp/sma/index.html
▲『サントリー美術館』公式ホームページ